第7回 やがて街はスカスカになる

  昨年の10月に行われた国勢調査の速報値によると日本の人口は1億2,800万人でしたが、国立社会保障・人口問題研究所の推計によれば、これをピークに今後は減少の一途をたどり、2050年には9,500万人になるそうです。これは1960年頃の人口(9,400万人)とほぼ同じです。つまり、40年後は、いまから50年も前の、都市の拡大が始まった頃に戻るわけですから、単純に考えれば、それ以降に拡大した分の土地は余ることになります。
 もっとも、住宅需要のペースである若年層(39歳未満)の人口は35年以上も前から減り続けており、また、近年は製造業の空洞化で街なかの工場も減り続けているため、すでに、街のあちこちで空き家や空き地が増えるという、土地余り現象は起きています。では、40年後はどれだけ余るのかですが、人口に比例させただけでも26%、つまり4軒に1軒は家が余る勘定になります。また、宅地の変化で見ると、民有宅地の面積は1960年から2009年までの49年間で3倍近くにもなっている(『固定資産の価格等の概要調書』総務省)ことから、いささか乱暴ですが、3分の2が余ると考えることもできます。
 いずれにしろ、空き家や空き地だらけのスカスカの街になってしまうのです。このため、大きな経済異変が起きない限り地価が下がるのは確実です。もっとも、前回も述べましたが、どこもかしこも一様に下がるわけではなく、すでに街づくりが整った人気のある地域は別です。ただ、そんな地域は限られています。大ていの地域は、まだまだ街づくりが整っておらず、まさに、今後の街づくりで差が付くわけですから、住民はしっかりと自分の地域の街づくりに関わっていく必要があると思います。
 住民が街づくりに積極的に関わらねばならない理由が、もう一つあります。どこの自治体でも、街づくりが必要な箇所を多数抱えていますが、毎年の予算には限りがあるため、限られた箇所しか実施できません。さらに、近年、全国自治体の建設予算総額は、ピークであった平成5年度の半分以下に落ち込んでいる(『地方財政の状況』総務省)ため、自治体によっては数年で1箇所というところも珍しくはありません。このため、事業箇所の選定にあたっては、一番に、自治体全域から見た重要度が考慮されるのは言うまでもありませんが、それに次いで考慮されるのは、地元がまとまるかどうかだと思います。なぜなら、地元がまとまらずに事業が遅れれば、それだけ便益を受けることが遅れ、また、せっかくの予算が無駄になるからです。(このことは第4回でも触れています)
 これからは土地余りに伴って、寂れる地域と寂れない地域という地域格差が生じてきます。このため、各地域が生き残りをかけて、行政に対して街づくりを誘致する時代がやって来ると思います。私も、ある事例で、計画検討の最後の段階で住民がまとまらず検討会が決裂しかかった時、アドバイザーとして「このままでは、担当課が、この地域はまとまりませんでしたと報告をして、次は、別の地域の別の計画を検討されるだけですよ。それでイイんですか?」と言ったことがあります。結局、まとまった事とまとまらなかった事を明記することにより、少なくとも住民が一致してやって欲しいと考えたことを伝えることができました。これからは、住民の方も、街づくりに対して積極的に関わって行かないと、知らぬ間に自分の地域が取り残されてしまうということも考えておく必要があります。