そこで、縮小社会で新たな財源を確保するにはどうすればよいかを考えてみます。縮小社会で増えるものと言えば空家と空地です。第7回でも述べたように、将来、街はスカスカになりますが、それなら、都市周辺部の宅地を都心やその周辺部へ移転集約し、跡地を農地や工業地やリゾート地などの生産用地として転用すれば、その中の区画道路をはじめとする都市施設用地も転用又は売却して新たな財源にすることが考えられます。また、宅地の集約で維持管理すべき都市施設も減らすことができます。ただ、宅地の集約という、まるで戦時下の強制疎開のようなことを、この民主主義の時代に実行できるかという疑問は残ります。
 しかし、このままでは間違いなく、50年後あるいは100年後の人たちは、この膨れるだけ膨れ上がった都市を現在の2/3あるいは半分の人口で維持して行かねばなりません。もちろん、空家や空地にも税金はかかるので税収予算は変わりませんが、一人一人の負担は、人口が2/3になれば1.5倍、人口が半分になれば2倍になります。
 ここまで都市を膨張させてきた現代の人間としては、後の世代に、そんな負担を押し付けるわけにはいきませんので、やはり宅地を集約して都市そのものを縮小して行くしかありません。もっとも、スカスカになった街に海外からの移住を受け入れるという奥の手(欧米先進国では普通)もありますが、これは街づくりの方策というより、縮小社会そのものを阻止するための方策ですから、もっと大きな観点で議論する必要があります。従って、街づくりの議論としては「都市の縮小」について考えます。
 都市の縮小といえば、すでに「コンパクトシティ」という概念がありますが、もともとは都心空洞化対策や地球温暖化防止対策として人や交通をコンパクトにまとめることを目的に提案されたものです。従って、現状は、まだコンパクト化の意義が提起された段階で、コンパクト化の方法までは議論されていません。しかし、最近のように、コンパクトシティが縮小社会における都市のあり方として注目されるのであれば、これまで説明してきたように、コンパクト化の方法まで考える必要があります。
 では、どのようにしてコンパクト化すなわち市街地を縮小するかですが、いくら縮小社会が進んで街がスカスカになっても、どこかで宅地利用がされていれば道路や上下水道などを廃止できませんから、実際に市街地を縮小するには、やはり、法に基づく市街地移転の仕組みが必要だと思います。例えば、空家や空地が2/3を超えた地域を「市街地移転促進地域」として指定するとともに、残った建物は10年以内に移転してもらうよう支援し、その後は区画道路や上下水道、公園などを廃止するといった制度です。
 問題は、こうした制度に国民合意が得られるかということです。恐らく、昭和43年の都市計画法改正に伴って行われた線引き作業の混乱とは比べ物にならないほどの反発が起るでしょうが、何度も言うように、ここまで都市を膨張させたのは現代のわれわれです。このまま何もせずに後世に引き継げば、「都市を膨らますだけ膨らませて、後始末だけさせるのか!」と非難されることは確実です。
 平成22年の国勢調査で日本人の人口が初めて減少に転じたように、すでに縮小社会は始まっています。それでも「50年後は生きて居ないから」と知らん顔をするのか、それともコンパクトシティを本気でやるのか、あるいは縮小社会そのものを阻止するのか、決断すべき時が来ていると思います。

前に戻るにはこちらから・・・
14_1へ 14_2へ このページ