第14回 街づくり財政を考えると見えてくるもの

 街づくりの進捗状況を、その代表的施設である都市計画道路の進捗率で見ると、名古屋市で80%、大阪市で75%と比較的進んでいるところもありますが、全国平均は59%、東京23区でも59%(『平成22年都市計画年報』幹線街路の改良済み延長)というように、まだまだ新たな街づくりが必要とされています。
 これに対して財政の状況は、平成23年度の『地方財政白書』によると、普通建設事業費のうち都市計画費すなわち街づくり事業費は、平成11年から平成21年までの10年間で4割以上減少しています。恐らく今後も、減りこそすれ増えることはないでしょう。そのうえ、これからは、現在使用中の道路や橋梁や上下水道など都市施設の多くが、戦後の高度経済成長期に建設されたことから次々と耐用年数を迎えることとなり、その維持管理に莫大な費用がかかると言われています。このため、新たな街づくりを行うための予算は、ますます圧迫されて行くと思われます。
  ところで、以前から、こうした街づくり財政で気になっていることがあります。それは、街づくり事業費における用地費の扱いです。街づくり事業費の中で用地費がかなりの割合を占めることは誰もが想像することです。実際、前述の地方財政白書によると、都市計画事業ではちょうど1/3を占めています。また、道路事業では、大都市の近郊部で5割以上、都心部では9割を超えるとも言われます。
 用地費は、工事費など他の経費と違って、代わりに土地という資産が得られます。このため、民間では、これを現金に換えるために不動産の証券化という手法が使われています。これは、まず資産を譲り受ける特定目的会社(SPC)というものを設立し、それが資産を買い取り、その証券を小口化して、一般から資金を集めるという手法です。手持ち資産を現金に換えられるということで、バブル崩壊以降、企業から注目されていますが、投資家から見ると将来の不安など色々と問題があるようです。私は、不動産の証券化は、都市施設用地の方が向いているのではないかと思います。なぜなら、以下のように、その収益は将来的にも安定していると思えるからです。
 現状では道路や公園といった都市施設には、そもそも収入というものがありませんが、見方を変えれば、揮発油税や軽油引取税は、もともとは道路整備のための目的税として、間接的ではあるものの道路を走った距離に応じて徴収される形になっていますので、これには道路の利用料が含まれると考えられます。また、固定資産税と一緒に徴収される都市計画税というものがあります。これは都市計画事業に使うための税ですが、都市計画事業には様々な財源が使われているため、一般には分かり難い税となっています。しかし、道路は、交通、建物への出入り、ライフラインの敷設、通風、日照など、都市の生活を支える最も基盤となる施設です。また、公園も、憩いの場や災害時の避難場所として、都市には無くてはならない施設です。従って、都市計画税は、そうした諸々の機能の利用料として賦課されていると考えれば目的はハッキリします。つまり、考え方を変えれば、すでに都市施設は莫大な収入を得ているとみなすことができるのです。従って、こうした収入を原資にすれば都市施設の用地を運用型証券とすることが可能と考えられます。

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